◆委員(井上ノエミ君)
まず、171ページの保育園の指定管理者についてお伺いします。
ここにある指定管理者は、全て社会福祉法人です。社会福祉法人は、以前、決算特別委員会でも質問しましたが、社会福祉法によって経営情報の公開が義務となっています。定款、役員名簿、役員報酬をホームページで公開することになっています。
そこで、171ページの社会福祉法人のホームページを見ました。6つの法人は法令にしたがって情報公開を行っています。しかし、社会福祉法人希望福祉会に関しては、決算書は出ていますが、定款、役員名簿、役員報酬についてはホームページにありません。希望福祉会は、横川さくら保育園の指定管理者で、来年度の予算約3億2,700万円を墨田区から受け取ります。法令をきちんと守ることのできない法人は、経営がきちんとしていないという印象を受けます。墨田区として、しっかり監督していただきたいと思いますが、どのように対処するかお伺いします。
また、今後、指定管理者の選考においては、当たり前だと思いますが、法律をきちんと守っている法人かどうか、確認していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
◎子育て支援課長(浮田康宏君)
対象の社会福祉法人につきましては、運営については区で確認を行いながら、適正に運営されていることを確認しているところです。
ご指摘の点につきましては、事業者に伝えて改善を図ってまいりたいと思っております。
また、指定管理者の選考における法令遵守についてですけれども、募集要綱に法令を遵守すると記載されておりますので、今後も適正な指定管理者の選考に努めてまいりたいと考えております。
◆委員(井上ノエミ君)
次に、保育所の給与に関してお伺いします。
保育士の給与の低い理由の一つに、保育園の経営者の人件費の流用があるようです。本来は、保育士のための人件費が別の目的に使われてしまう、これは委託費の弾力運用として25%までは国に認められています。
しかし、保育士に払うべきお金が別の目的に使われては、保育士の給与はなかなか上がりません。本来は、保育園の運営費の8割が人件費として見積もられています。しかし、実態は大変低いようです。墨田区として、この問題をどのように認識しているのか、どのように考えているのかお伺いします。
また、墨田区の保育園の委託費流用の実態に関してもお伺いします。
◎子ども施設課長(金子明君)
保育委託費の弾力運用と人件費率の低さについての認識です。
保育委託費とは公定価格等のことであり、国から保育園の運営費として支給するものです。この中には、人件費や事業費、又は事務費等が算入されております。
国では、この保育委託費について、3カ月分、1年間の4分の1、いわゆる25%分は弾力運用として保育所の建物、施設の整備、修繕等に充てることができるとしております。
人件費率については、保育園を運営するために、運営事業者が設定するもので、かつ、弾力運用という国が認めた制度を利用することにより、人件費率がある程度低く見えることもあるため、人件費率の高さ、低さだけが保育士の給与の高さ、低さに連動しているとは、一概には判断できないと考えております。
次に、墨田区内の人件費率についての実態についてですが、財務諸表等の提出が東京都となっている社会福祉法人については、区として把握はしておりません。なお、株式会社等においては、平成29年度に東京都が報告した、平成28年度の株式会社等の平均の49.3%、これと同程度であると把握しておりまして、東京都内の他自治体と比較をして、著しく低いとは考えておりません。
◆委員(井上ノエミ君)
次に、社会福祉法人などにおける全体人件費と保育者人件費についてお伺いします。
全体人件費というのは、理事長とか園長などの幹部職の給与を含んだ人件費で、保育者人件費というのは保育士の給与だけです。本来、保育士の給与を考えるためには。保育者人件費を調べればいいのですが、実際には、なかなか分かりません。決算書を見ても、全体人件費しか出ていません。つまり、保育所の委託費から幹部職員だけが高給をもらい、保育士の給与を低くできる状況にあると思います。
ただ、東京都が独自のキャリアアップ補助制度をつくって、その支給要件に保育者の人件費を報告義務としたために、かなり実態が分かるようになってきました。
平成29年の東京都の報告では、社会福祉法人で69.3%、株式会社で49.3%が事業費に占める保育士の人件費です。このように、情報を見える化することが、保育士の待遇改善につながってくると思います。
そこで伺いますが、墨田区の幾つの保育園が、この東京都のキャリアアップ補助を受けたのかお伺いします。
また、墨田区として、保育士の人件費についての情報を把握しているのかお伺いします。
また、区内の保育園における保育士の人件費比率の実態について、分かる範囲で教えてください。
◎子ども施設課長(金子明君)
まず、東京都キャリアアップ補助を受けている保育園ですけれども、平成29年度の実績で33園のうち31園となっております。
内訳ですが、社会福祉法人系が21園中21園、株式会社系が12園中10園となっているところです。
次に、保育士の人件費に関する情報の把握についてです。
社会福祉法人系につきましては、先ほども申しましたが、財務諸表等については、区を経由しないで東京都に直接提出することになっておりますので、区としては把握しておりません。また、株式会社につきましては、区を経由して東京都に財務諸表等を提出することになっておりますので、しっかりと把握をしているところです。
なお、平成29年度分の財務諸表につきましては、東京都キャリアアップ補助を受けた社会福祉法人、株式会社等、両方につきまして、今後、東京都が公開をする予定と聞いておりますので、こちらにつきましては把握に努めていきたいと考えております。
次に、区内の保育士の人件費比率の実態についてです。
東京都に提出する財務諸表等の様式が、職員給料支出ですとか職員賞与支出という分類になっておりまして、保育士と他の職種、幹部職員との区別がなされていないことから、保育士だけを抽出した人件費比率の実態については把握できません。
◆委員(井上ノエミ君)
次に、幼児教育の無償化についてお伺いします。
資料29に、保育施設及び幼稚園の入所者数の推移があります。平成30年の数字を見ると、3歳児から5歳児を見ても、入所率が56%、55%、54%です。もし、この数字を信じると、墨田区では約半分近い子どもたちが幼児教育を受けていないことになります。
しかし、国のデータを見ると、平成21年の文部科学省の資料では、3歳児での未就園率は22%、4歳で5%、5歳で2%となっています。今年から幼児教育の無償化が始まりますから、墨田区に何人ぐらいの潜在的な需要があるのか、分析する必要があると思います。
そこで伺いますが、墨田区には3歳から5歳の子どもで、現在、保育園にも幼稚園にも行っていない子どもは、一体何人ぐらいいるのか、そして、幼児教育の無償化によって何人ぐらいの子どもが新たに入園、入所を希望してくると推定しているのかお伺いします。
◎子ども施設課長(金子明君)
まず、ご指摘の墨田区内の保育施設及び幼稚園の入所率、3歳が56%、4歳が55%、5歳が54%といいますのは、資料29の1ページの認可保育施設のみの入所率となっております。実際には、2ページ目の区立幼稚園と私立幼稚園等の入所率も合計した数字となりますので、入所率はそれぞれ、3歳が77.3%、4歳が88.0%、5歳が86.9%となります。
それを前提に、保育園にも幼稚園にも行っていない子どもは一体何人くらいいるのかという質問ですけれども、資料29に基づきますと、3歳が2,036人中462人、4歳が1,908人中230人、5歳が1,913人中249人となります。
ただし、この数字には、認証保育所、認可外保育施設、あと区外の幼稚園等に通っている方については反映されておりません。特に、区外の幼稚園に通っている方につきましては、区内の幼稚園に通っている方の半分程度はいると思われます。
これら反映していない数字を試算して足し込みますと、入所率としましては、委員ご指摘の文部科学省の数字とかなり近くなると考えられます。
次に、幼児教育の無償化によって保育施設等に入園、入所する希望者がどれくらい増えるのかということの想定です。
昨年度、明石市が、国に先駆けまして幼児教育の無償化を実施いたしました。このときの認可保育施設の申込者数は、前年度に比べて10.2%増加したということです。この数字を参考にいたしますと、本区の認可保育施設における平成30年4月入所の正味の申込者数が2,185人、これに10%乗じまして、さらに3歳から5歳児の割合を乗じますと、約110人となります。認可保育施設だけですけれども、幼児教育の無償化によって約110人は申込者数が増えるのではないかと想定しているところです。
◆委員(井上ノエミ君)
次に、172ページの学童クラブについて伺います。
昨年の定例会で、立川児童館両国分室の待機児童が大変多いことを取り上げました。新年度から、両国小学校を利用して、新たに学童クラブの分室をつくっていただき、ありがとうございます。希望者が多くて待機児童は、まだ解消されていませんが、とりあえずは、新しい分室ができて、第一歩だと思います。また、両国小学校を利用することで、教育委員会や学校との調整にはいろいろご苦労はあったと思います。今回は、曳舟小学校にも東向島児童館の分室ができて、小学校を利用した学童クラブが二つできました。墨田区では、待機児童も多いですから、小学校の施設を利用すれば、新しい学童クラブを低いコストで開設できると思います。是非、今後も小学校の施設を利用した学童クラブを開いていただきたいと思いますが、ご見解を伺います。
◎子育て政策課長(高橋義之君)
小学校内の学童クラブ開設は、大変有効な手段ですが、近年、児童数も増えてございます。そのため、この先、教室不足等の懸念もされますことから、今後、引き続き教育委員会と十分な協議・調整をした上で、可能な範囲で対応させていただきたいと考えています。